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2019.05.16 Thursday

芸術監督のショートエッセイ 石神の丘から vol.116

美術館で毎月発行している小さな情報誌
「石神の丘美術館通信ishibi《いしび》」にて連載中の、
芸術監督・斎藤純のショートエッセイをご紹介します。


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石神の丘美術館芸術監督・斎藤純のショートエッセイ
「石神の丘から vol.116」


 

平成31年度の最初の企画展『松本伸写真展 distance〜岩手の人1,000人のポートレート〜』が開幕しました。

 

30年のキャリアを持つ松本伸さんは広告写真を撮りながら、ライフワークとして「distance(ディスタンス)」シリーズを撮りつづけてきました。

本展ではその作品群を中心に、岩手県政広報誌「いわてグラフ」の連載時に撮影した作品や「おさんぽ」シリーズと題した作品をご覧いただけます。

また、松本さんは盛岡の冬の風物詩である盛岡文士劇の常連出演者でもあります。

舞台出演のかたわら、稽古風景や楽屋などで撮った写真は貴重な記録資料となっています。

 

日本ではこれまでに何度か写真ブームがありました。

写真ブームはカメラブームでもありました。

昭和の終わりごろから平成の初めにかけてのレンズ付きフィルムカメラ「写ルンです」ブームは社会現象にもなり、その後のデジタルカメラの普及はカメラからフィルムを駆逐しました。

そして、携帯電話やスマートフォンに内蔵されたカメラによって誰もが気軽にシャッターを押す時代になり、写真はこれまでになく身近な存在となっています。

 

このような時代にあって、撮影前に深い思考を経る松本伸さんの姿勢は、プロカメラマンではない私たちも学ぶべきことが多いように思います。

それは、撮影対象との接し方や距離感(これがdistanceの由来となっています)など、実は写真以外のこと、つまり私たちの「生き方」に応用ができそうなことばかりです。

 

松本さんの作品は観るものの気持ちを穏やかにさせます。

展覧会場から出てくるみなさんの表情にそれが如実にあらわれています。

日本ではとかく「芸術とは人間の闇の部分を描く」ものと思われがちですが、松本伸さんの作品はその対極に位置していると言っていいかもしれません。

それでいて、決して軽くはありません。

松本伸さんの写真に対する姿勢が反映されているからでしょう。

 

会期中に元号は令和になりますので、本展は石神の丘美術館にとって平成最後の展覧会となります。

令和には「明日への希望と共に、日本人1人ひとりが大きな花を咲かせる」という意味が込められているそうです。

松本伸さんの作品の世界そのものであり、本展はまさに令和の初めに相応しい展覧会といえます。


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